パソコンを使っていると、熱の問題で困ることがあります。本体が異常に熱くなったり、場合によっては電源が勝手に落ちて再起動を繰り返したりするなどの経験をしたことがある方はいませんか。これは「熱暴走」とよばれていて、パソコンが故障する恐れがあるため放置すべきではありません。この記事では、パソコンの熱暴走の基礎知識に加え、原因や対処法などを紹介していきます。
パソコンの熱暴走とは?
電気を使う製品の動作には発熱が伴います。たとえば、扇風機などのモーターを使う機械などでは、一定の時間使用したあとでモーター部分を触ると熱くなっていることがわかるでしょう。回転部品がない機械の場合でも、内部回路の銅や金などで作られた導線で熱が発生します。電流が流れるという現象は、電導体内の電子の動きで説明されますが、そのときの電子どうしの摩擦によって熱が生まれるのです。特に、精密機械であるパソコンのプロセッサー部分などは、集積回路とよばれる髪の毛より細い導線による回路が積層されています。小さな面積に多くの電線を組み込んでいるため大きな熱が発生するのです。そのため、パソコンには熱を除去するためのヒートシンクとよばれる仕組みが設置されています。
これは、主にアルミ製の羽が並んだような形のもので表面積を多くすることで放熱を促すわけです。あわせて冷却ファンを使って送風することで、放熱効率を高めることができます。以上がパソコンの熱対策の原理ですが、実際は数多くの部品が複雑に組み合わされており、内部の通気性が充分に確保できないことも多いのです。特に、軽さや薄さが問題になるノート型パソコンの場合は、気流による放熱には限界があります。そうなると、筐体内部に熱がこもりやすくなり、その熱が一定以上に達するとパソコンの中枢であるCPUの判断で、熱によるダメージを避けるため動作が停止します。これが、さまざまな不具合を発生させる「熱暴走」とよばれる現象です。
熱暴走が起きるとどうなる?
「部品の接続部が溶ける」「画面がブルースクリーンになる」「突然電源が落ちて再起動」「エラーが頻発」などの不具合が起きると、熱暴走が疑われます。このとき、適切な熱暴走対策を取らずにそのままパソコンを使用し続けていると、さらに問題が大きくなる可能性があるため注意しておきましょう。パソコンのダメージが蓄積した結果、本格的に故障して使えなくなってしまう恐れがあります。また、最悪の場合はパソコンが物理的に高熱に耐えきれず、発火したり、バッテリーが爆発したりすることもあるのです。そうなると、その火が周辺に引火して家屋の焼失などの二次的な被害を生むリスクがあるため注意しましょう
熱暴走が起きる原因
熱暴走対策の基本は、まず原因を知ることです。適切な対処をするには、そもそもなぜ熱暴走が起きるのかという原因と結果の因果関係を知っておく必要があります。主な4つの原因として、「内部の発熱」「冷却ファンの問題」「筐体内部の通気性」「使用する環境」について説明していきます。
パソコン内部の部品が発熱する
パソコンは、他の電子機器に比べて部品同士が大量のデータをやりとりするため、そのデータの通り道である導線内での電子による摩擦熱が起きやすいことが特徴です。特に、発熱しやすいのは人間の脳に相当する「CPU」であり、パソコンを使っている間は常に稼働して大量のデータを処理しているため高温になります。たとえば、大型のコンピュータなどでは膨大な熱を発生するCPUの冷却のために、水冷方式を採用しているものもあるのです。
また、一般的ではありませんがCPUの性能を極限まで引き出すような使い方をする際には、高熱による導線や素子の溶解を防ぐために、液体窒素で冷却するケースもあります。このほか、バッテリーやHDD/SSDなども熱を持ちます。さらに、これらの熱対策のために設置されている冷却ファン自体もモーターを使っているため、熱暴走の発熱源になっていることがあるのです。
冷却ファンの異常
パソコン内部には、発生する熱を外に放出するために冷却ファンが設置されています。冷却ファンは、小型の扇風機のようなものであり、パソコンの電源が入っている間は常に回転しているため故障する可能性が高い部品の一つといえるのです。熱暴走が頻発する場合の原因として、この冷却ファンが故障して動作していないことがあります。また、部品が劣化して充分な送風量が確保できていないケースも見られます。冷却ファンの状態は、回転数を制御できるアプリケーションなどでも確認可能ですが、最も簡単な方法は「回転音」に注意することです。
通常、パソコンは利用者の近くに設置するため、冷却ファンの回転音は気にならないように作られています。その音が大きすぎたり、周期的に変化したりするようであれば故障が疑われるのです。
室温が高い中で使用している
熱暴走の原因として見逃しやすいのが室温の高さです。パソコン内の温度は、室温に比例するため、真夏などに空調なしの暑い室内で使用していると熱暴走の原因になりやすいでしょう。目安としては、室温35度を超えた環境ではパソコンが正常に作動しなくなる可能性があります。機器により多少の差があるため、パソコン購入時のマニュアルの「動作可能温度範囲」を確認してみましょう。一般的なパソコンの設置場所の適正室温は、5~35度程度といわれています。パソコンの不具合の原因が室温と考えられる場合は、設置場所の室温が動作可能な範囲に保たれているかどうか調べることが必要です。
熱暴走への対策・対処は冷却が基本!効果的な冷却方法
熱暴走は、高熱が原因で起きているため「冷やすこと」が対策の基本です。熱さに気付いたら、初期段階の対策として、すぐに冷却することが重要になります。次に、熱暴走の原因を特定して対策を講じましょう。この段落では、効果的な冷却方法を紹介していきます。
【熱暴走対策1】パソコンの設置場所を変える
熱暴走への対処法として、最も有効な方法はパソコンの設置場所を変えることです。熱を少しでも効率よく排出できる場所や位置にパソコンを再設置しましょう。デスクトップ型パソコンの場合は、モニターも大型になりがちなので棚の中や壁際などのなるべく存在感を感じさせないような場所に置くことが多いでしょう。たしかに、インテリアデザイン的な観点からは、なるべく壁際に置くほうが部屋の雰囲気を壊さないのですが、熱暴走対策としては問題があります。パソコン専用の部屋を設けられる場合には、一般的な居室で最も通気性が良いと考えられる部屋の真ん中にある机の上などに設置しましょう。
そうでない場合には、熱がこもらないように、筐体を壁や家具などからできるだけ離して置くのがおすすめです。一方、ノート型パソコンの場合は多くが本体の側面や底面から熱を逃がす構造になっています。デスクトップ型と違い、筐体内部に充分な排熱用の通風スペースがとれないため、筐体そのものをヒートシンク代わりに利用しているわけです。そのため、本体と机の間を密着させず、通風のためのスペースができるように、台などの上に置くようにすると排熱効率が高まって熱暴走しにくくなります。
【熱暴走対策2】パソコンを節電モードにする
パソコンのソフトウェアでコントロールできる熱暴走対策として、節電モードにする方法があります。パソコンを使うときに、全部の機能をフルに使って作業してしまうと消費電力が増えて熱を持ちやすくなりがちです。一般的なパソコンでは、電力消費をセーブする設定が選べるようになっています。環境設定画面で、「節電モード」や「省エネルギー設定」などと表示される設定です。このようなモードでは、利用していない機能を停止したりモニターの明るさを調整したりして消費電力を抑える効果があり、パソコンの発熱抑制につながります。
もし、このような節電モードにできない場合は、画面表示の設定を調整することも効果的です。画面の明るさを必要最小限に抑えたり、スリープモードを積極的に活用したりすることで、ある程度の冷却効果が得られるでしょう。
【熱暴走対策3】パソコン用冷却アイテムを使用する
熱暴走への対処として、さまざまな市販の冷却用アイテムを使う方法があります。パソコンショップや量販店のパソコンコーナーに行くと、熱暴走を防ぐための商品が並んでいます。たとえば、外付けで設置できる冷却ファンや、ノートパソコンの下に敷く冷却パッド、パソコンと机の間に空間を作るためのスタンドなどが主な冷却アイテムです。パソコンの環境によって適切なものを選んで使ってみましょう。注意すべきなのは、それぞれのアイテムが効果を最適化するためにパソコンのサイズや機種に合わせて専用となっているものが多い点です。
自分のパソコンで使えるかどうか、購入前によく確認しておきましょう。なお、パソコン用の冷却アイテムではなくても熱暴走対策に使えるグッズもあります。たとえば、個人用のモバイルタイプの扇風機などは、パソコンの冷却ファンの給気口近くに置いて送風すると風量が増すため効果的です。ノート型パソコンであれば、キーボード部分に向けて送風すると冷却効果が得られて熱暴走の発生が抑えられることでしょう。
【熱暴走対策4】室温を下げる
パソコンの内部は発熱しているため、利用者には快適な室温であっても筐体内がかなりの高温になっている場合があります。そうなると、通常の方法でパソコン内の温度を下げることは難しくなるでしょう。なぜなら、通気性を考慮された筐体であったり大型のヒートシンクが装備されていたりしても、給気される室内空気の温度が高ければ放熱効率が上がらないからです。このようなときには、室温を下げることが有効な熱暴走対策になります。特に、夏季などはクーラーなどを使って室温を下げると良いのです。
その他の注意点は、直射日光の影響です。日当たりの良い建物の南側の部屋にパソコンが設置されている場合、天気の良い夏の日中は室温が下がりにくくパソコンの熱環境に影響することがあります。室温が原因での熱暴走が疑われる場合には、北側の部屋などへパソコンを移すのも良いでしょう。ただし、室温の管理については、あまり神経質になる必要はありません。業務用のサーバーが何台も設置されている部屋であれば、厳格な温度管理が不可欠ですが、パソコンの場合は利用者にも快適な「涼しい」程度の室温で充分です。逆に冷やしすぎてしまうことも、パソコンにとっては故障のリスクを高めてしまうため、過度に室温を下げる必要はありません。
【熱暴走対策5】デスクトップパソコンのケースを変える
デスクトップパソコンのケースが、外からファンが見えなかったりメッシュが付いていないタイプの場合は、内部の熱い空気を排出できていない可能性があります。前面にファンが付いていたり、上部に大型のファンが付いているケースに変えると内部