蓄電池とは?どんな仕組みで電気を貯めることができる?

蓄電池と言えば2020年現在、これほどまでに普及してきた今でこそ太陽光発電とセットで設置するものだという一般認識として広がりつつありますが、厳密に言えば蓄電池と言っても様々な種類のものが存在しています。

蓄電池は充電池とも呼ばれ、家庭用として設置する大型のものだけでなく、実は充電して再利用できる電池のことを広く指しています。

携帯電話の電池パック
ノートパソコンのバッテリーパック
タブレットPCバッテリー
PLCバッテリー
それぞれに違った特徴がある上、そもそも充電の仕方まで異なっているのです。

まずは充放電の仕組みを知ろう!
誰もが一度は触ったことがあるであろう、乾電池と比較して説明致します。

乾電池にはプラス極とマイナス極の金属がでこぼこの仕様で施されていますが、蓄電池の充放電はこの2つの金属と内蔵された電解液の3つがかかわりあって発生します。

これら3つの化学反応によって生まれる電子エネルギーを利用して、充放電を行っているというわけです。

乾電池も蓄電池も電気の充放電の仕組みは全く同じです。

マイナス極には内蔵された電解液に溶けやすい金属、プラス極には電解質に溶けにくい金属が使用されており、電解液に溶けやすいマイナス極の金属が電解液に溶けて電子を発生させます。 そしてその発生した電子がプラス極に流れ込み、発生した電気が放電されるといった仕組みです。

乾電池の場合には放電し続けると電解液に溶けやすいマイナス極は溶けてなくなってしまい電池交換が必要になりますが、蓄電池の場合には使っている素材が違うので充電というプロセスを行うことで再利用が可能となります。

充電の仕組みは、いま解説した流れと全く逆の反応を起こすことで発生させてやることができます。プラス極の金属を溶かして電子を発生させてやることで、それがマイナス極へと流れ込み固体化して金属に戻ってはじめの状態に戻ります。これが充放電の仕組みです。

それでは充放電の仕組みを理解してもらったところで、次は種類別の蓄電池の仕組みについて解説していきましょう。

種類別の蓄電池の仕組み
冒頭で述べたように蓄電池には様々な仕様がある上、どのような仕組みで電力を充電しているかが違ってきます。

種類は違っても各蓄電池の充放電の仕組みは先にお話したとおり化学反応によるものですが、どんな金属が用いられているのか、どんな電解液が用いられているかでそのスペックが異なり、使用用途にも違いが見られます。

現在用いられているメジャーな蓄電池は下記のとおりです。

鉛蓄電池
ニッケル水素電池
リチウムイオン電池
NAS電池

1.鉛蓄電池
鉛蓄電池は1859年にフランスのガストン・ブランテによって開発された最も古い歴史を持つ蓄電池です。

開発時より150年を経過した今でも多くの用途に使用されており、長年の歴史の中で特性改善を繰り返していることで高い信頼性を誇っています。

鉛蓄電池の主な用途は下記のとおりです。

エンジン駆動時の指導用バッテリー
ゴルフカートや高所作業車の電動車両用バッテリー
キャンプカーやレジャー用船舶のバッテリー
そしてこの鉛蓄電池のプラス極には二酸化鉛(PbO2)が、マイナス極には鉛(Pb)、そして電化液には希硫酸(PbSO4)が用いられています。

放電すると両極とも酸化して同じ物質であるPbSO4を発生させますが、二酸化鉛は既に酸化している状態なので更に酸化させることが困難なため、酸化しやすいマイナス極の鉛(Pb)が電子化してプラス極に流れ込むことで電気が発生します。

鉛蓄電池には原価の安い鉛が使用されているため容量あたりの電力単価が安く、大電流の放電ができるメリットがありますが、使用経過によって充電性能が劣化して電池寿命が大幅に低下してしまうというデメリットを持ちます。

このようなメリット・デメリットを併せ持つ鉛蓄電池ですが、今後も各車両のバッテリーとして使用され続けられることが予測される私たちの生活に欠かせない蓄電池の一つと言えるでしょう。

2.ニッケル水素電池
ニッケル水素電池は乾電池タイプの蓄電池で、以前から販売されている最もポピュラーな蓄電池と言っても過言ではないでしょう。販売されているところも家電量販店や携帯ショップ、レンタル屋など幅広いため、一度は目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

実はこのニッケル水素電池は二代目の乾電池タイプの蓄電池で、それ以前にはニッケルとカドミウムを電極に使用したニカド電池が主流でした。しかし、使用されているカドミウムが毒性を持つことから、環境や人体への懸念が絶えず叫ばれていたところに登場したのがこのニッケル水素電池です。

環境や人体に影響のない水素を電極に使用したことで安全性が高く、ニカド電池の約2.5倍もの容量を持つことで、ニカド電池からその座を奪い取り今に至っています。

ニッケル水素電池はプラス極にオキシ水素化ニッケル(NiOOH)、マイナス極に水素吸蔵合金、そして電解液に水酸化カリウム水溶液が使用されていますが、このニッケル水素電池の画期的な点は、気体である水素を効率よく電池に使用できるようにした点です。

金属の中に水素を閉じ込めた水素吸蔵合金が発明されたことによって、電池の中に効率的に水素を蓄えることを可能にしました。

この水素吸蔵合金は自らの体積の1000倍もの水素を蓄えることができるため、効率よく機体である水素を蓄電池内に閉じ込めることができます。

マイナス極の水素吸蔵合金に含まれる水素が水素イオンとなり、それがプラス極に流れ込みオキシ水素化ニッケル(NiOOH)と結合してニッケル水酸化物Ⅱ(Ni(OH)2)を生成して電気を発生させます。

最近では後で紹介するリチウムイオン電池にとってかわった電池となってしまいましたが、以前はカメラなどにも使われていた乾電池の後発電池として主流となりました。

3.リチウムイオン電池
リチウムイオン電池はニッケル水素電池に見られるメモリー効果が発生しないため、頻繁な充放電や満タン時の充電が多くなるノートパソコンやモバイル機器に最適なことで、今では大半のモバイル機器の充電池として利用されています。

また定格放電が3.6Vと小型ながら大きくで超寿命というメリットがあり、近年は中型化、大型化にも成功したことから、電気自動車のバッテリーや家庭用蓄電池としても使用されています。

今では我々の日常生活において最も欠かすことのできない蓄電池と言えるでしょう。

リチウムイオン電池はプラス極に二酸化コバルト(CoO2)、マイナス極にリチウムイオン(Li)、そして電解液に炭酸エチレン(C3H4O3)が主に使用されており、マイナス極のリチウムイオン(Li)がイオン化して電子を生み出し、それがプラス極に流れ込んで電力を発生させます。

このようにリチウムイオン電池はイオン化による化学反応によって電気エネルギーを生み出しているのですが、リチウムイオンの最大の特徴はイオン化傾向が非常に高いという点です。 この特性が生み出す電気エネルギーの高さに繋がることで、3.6Vともの定格放電を可能としています。

またリチウムは水と反応する特性があります。よって、ここまで紹介した他のもののように電解液に水溶液が使えずエチレン系の有機媒介が使用されているため、液漏れがないのもこの蓄電池の特徴と言えるでしょう。

リチウムイオン電池はスマートフォンに採用されている充電池であり、2020年現在でも小型化と大容量化が進み、進化を続けています。

4.NAS電池
NAS電池は日本ガイシが研究開発したメガワット級の電力貯蔵設備を可能とした世界初の蓄電池です。

プラス極に硫黄(S)、マイナス極にナトリウム(Na)、そしてリチウムイオン電池と同様に電解液には有機体であるファインセラミックスが用いられており、硫黄(S)とナトリウム(Na)の化学反応によって充放電を繰り返します。

メガワット級の電子貯蔵が可能なのに安価な点、設置場所の制約が少ないことが特徴であり大きなメリットと言えるでしょう。しかし、使用されている硫黄(S)とナトリウム(Na)が危険物指定されている点や、作業時には作業温度を300度に維持する必要があるため、取り扱い上での安全性が懸念されているというデメリットがあります。

まとめ
上記のように、私達の生活に密接に関わっている電池ですが、大きくわけて一次電池と二次電池という括りにしかなっていないように、様々な電池の種類が存在していても、その仕組みはまったく変わらないのです。

さらに、2020年現在では環境下の温度変化で充電できるという全自動蓄電池の開発も進んでおり、いわゆる三次電池が日の目を見るまでそう遠くはない未来となってきています。

流石に今の蓄電池業界で主流となっているリチウムイオン電池のようなサイズ感と値段で販売されるのは当分先のことにはなるでしょうが、私達の未来が今よりもさらに明るいものとなっていくのは間違いないでしょうね。

リチウムイオン電池にメモリー効果はありますか?

メモリー効果は、リチウムイオン蓄電池にはほぼありません。
メモリー効果とは、蓄電池内の容量がまだ残っているにも関わらず、蓄電池が放電できない状態になってしまう現象のことをいいます。メモリー効果が起こる原因は、使用に伴う蓄電池の劣化ではありません。

蓄電池に電池容量が十分に残っている状態で、蓄電池へ継ぎ足しのような形で充電を行うと、次回以降そのポイントで電池電圧が低くなってしまうことで発生します。

つまり、普段の蓄電池の使用方法によってメモリー効果は発生してしまいます。特に、このような継ぎ足し充電を繰り返し同じ蓄電容量のところから行っていると、メモリー効果は顕著に表れる傾向にあります。

上記のように、充電する(放電電圧が下がる)ポイントを記憶(メモリー)しているため、メモリー効果と呼ばれています。

メモリー効果の発生例
メモリー効果がどのように発生するのか、次のような例を挙げて見ていきましょう。

たとえば、蓄電容量が60%まで減少した段階で、継ぎ足し充電を繰り返し行ったとします。すると、蓄電池はその60%という蓄電容量を記憶してしまいます。

そして、次回以降に蓄電池から放電したとき、蓄電容量が60%まで到達した段階で放電電圧が大きく低下し、そこから放電ができなくなります。蓄電池からしてみると、いわゆるバッテリー切れの状態になっているように見えているのです。

このようなメカニズムで、蓄電池には60%も電力が充電されて残っているにも関わらず、その電力は使えないままになってしまいます。

さらに言えば、メモリー効果によって充放電のサイクルが早くなってしまうため、蓄電池の劣化を早めることにもつながりかねません。

どの蓄電池でもメモリー効果は起きるのか?
さて、メモリー効果はどの蓄電池でも起きる現象かというと、そうではありません。基本的には、リチウムイオン蓄電池においてメモリー効果は発生しません。

そのため、リチウムイオン蓄電池は「蓄電容量が減ってきたから少し充電しておこう」という使い方ができます。

一方で、ニカド電池やニッケル水素電池にはメモリー効果が発生するため注意が必要です。もし、ニカド電池やニッケル水素電池がメモリー効果に陥ってしまったら、「リフレッシュ」という処理を行います。

リフレッシュ処理は、一度蓄電容量を完全にゼロになるまで完全放電を行って、すぐに満充電を行うという処理です。ただ、このリフレッシュ処理を行えば蓄電池の劣化にはつながってしまうため、あまり望ましい対処とは言えません。

リチウムイオン蓄電池は、このメモリー効果がない点が他の蓄電池と比較したときの長所なのです。

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